2016年から、『週20時間』労働者に社会保険加入を強制(501人以上の会社で適用)
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「週20時間パート」の社会保険加入強制
〜 あなたは社会保険加入で違法をしたいですか?〜
T 背景
政府は、非正規労働者に対する厚生年金と企業健保(健康保険組合、協会けんぽ)の適用条件を改正しました。つまり2016年4月から、週20時間パート(それ以上働く労働者)を、強制的な加入被保険者とします。対象企業はまず従業員501人以上の企業です。その後3年以内で301人以上の会社には、順次、拡大されます。
従業員300人以下の会社(=中小零細事業主)の本件猶予期間は「別に法律で定める日」までです(当面「週20時間」以上働くパート等への社保強制加入は見送られたと云うことです)。
なお、従業員数の数え方は、現在、厚生年金の適用対象とされている従業員の人数で算定します。
U 制度の要約
1.『週20時間以上』労働に掛る社保加入
現行で労働時間が「週30時間以上」の厚生年金・企業健保の適用基準
が「週20時間以上」に緩和されます。つまり新たに「週30時間未満・
週20時間以上」のパートタイマーの「給与」について、社会保険加入
を強制しようという訳です。
尤も、「給与」以外の報酬であれば、社会保険の対象とならないもの
は、健康保険も、厚生年金も、更に、雇用保険も、労災も対象外です。
2.対象労働者は要件
@月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
(注) 平成24年法律第62号では、月給は8.8万円になっています。
A勤務期間1年以上
B従業員501人以上の事業所
C学生は対象としない。
3.会社の負担
月収10万円の「週20時間」パートの社保加入強制で会社負担になる
厚生年金保険料は月額8,400円、健康保険料は月額5,600円。合計で
週20時間以上〜週30時間未満であったパートさんについての負担増は
月額14,000円となります。
4 パートタイマーの負担
保険料はフリーターや自営業者の妻などでは安くなる場合が多いです。
現行では国民年金の保険料(平成24年度14,980円)を払っています。
月収10万円の人で自己負担は、厚生年金保険が月約8,400円(現時点)、
健康保険料は、5,600円です。合計で月14,000円の負担増となります。
フリーターや自営業の妻などはトントンですね。一方、サラリーマンの
妻(年収130万円未満)が緩和措置により加入した場合は負担増です。
今は「第3号被保険者」として保険料負担ゼロですが、収入に応じた
負担が生じるという訳です。
5.対象会社の拡大
@ 2016年度からの対象企業は、従業員501人以上の会社
A 2019年(3年以内に拡大と規定されている)からは、
301人以上の会社
V 社保の『4分の3基準』とは
パートタイマー等に対する健康保険および厚生年金保険の適用基準、
所謂『4分の3基準』の根拠は、昭和55年6月6日付指導文書です。
宛先は、都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて
発信人は、次の連盟です。
・厚生省保険局保険課長
・社会保険庁医療保険部健康保険課長
・同年金保険部厚生年金保険課長
内容は、
事業所の使用者に対する厚生年金保険の適用については、
当該就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるか否かにより
判断すべきものであるが、
短時間就労者(いわゆるパートタイマー)に係る常用的関係の
判断については、次の点に留意すべきである。
(1) 常用的関係にあるか否かは、当該就労者の労働日数、
労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して
認定すべきものであること。
(2) その場合、1日または1週の所定労働時間および1月の
所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する
通常の就労者の所定労働時間および所定労働日数の概ね
4分の3以上である就労者については、
健康保険および厚生年金保険の被保険者として取り扱う
べきものであること。
(3) 上記(2)に該当する者以外の者であっても、(1)の趣旨に
従い、被保険者として取り扱うことが適当な場合があると
考えられるので、その認定にあたっては、当該就労者の
就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきもので
あること。
W 疑問
Q: 短時間労働者の社会保険料負担増えるのか。
週20時間以上働く短時間労働者に、社会保険の加入が義務付けら
れます。当社には、専業主婦やフリーターなどがいますが、
一律に保険料の負担増となるのでしょうか。
A: 短時間労働者への健康保険や厚生年金など社会保険の適用拡大
は平成28年10月に実施されますが、従業員500人以下の企業は、
平成31年10月迄の3年程度、適用が猶予されます。
改正健保法第3条と改正厚年法第12条では、次の条件を満たせ
ば適用除外の基準に該当せず、原則として被保険者になるとしてい
ます。
@ 週の所定労働時間が20時間以上
A 月額賃金8万8,000(年収106万円)円以上
B 勤務(見込み)期間1年以上
C 学生でない
V コメント
週20時間パートの社会保険加入の時代になると、
例えば、夫の被扶養配偶者である専業主婦は、社会保険料を
支払っていないため、週20時間労働で保険加入すればその分、
全額が負担増となります。所得税法上の配偶者の扶養控除は、
規定に規定に適合すれば、「扶養控除」は受けられます。
一方、フリーターなどは、国民年金や国民健康保険に加入し、
保険料も全額自己負担していましたが、社会保険では保険料の
半額を事業主が負担することになります。
報酬額によっては社会保険料が、国民年金の保険料14,980円
(平成24年度)に、国民健康保険料を加えた額より安くなること
も、あり得ます。
Y 提案:
早めの「検討」がいる「社会保険料の節約戦略」!
人事政策に慎重な会社は、弊社が提案する「司法上の不利益変更が
ない」社会保険料節約サービスを、受ける・受けないの前に、検証
しようとします。御社もそうだと思います。その場合、約1年半か
ら、2年程の年月を要します。
「週20時間パート」の社会保険加入が強制される2016年から検討
を始めたのでは、とても、検討の時間がなく、なし崩し的に多額の
社会保険料の負担増に繋がります。ぜひ、2013年から関心をお持ち
になることをお勧めします。何から始めるかと云えば、「無料診断」
(負担増のシミュレーション)で、まず概算金額の掌握です。